東京オリンピックにみた、少し控えめなAIやロボットの活躍
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1. 東京オリンピックで活躍したAIロボットたち
2. 小売業界で活躍するAIやロボット

コロナ禍で開催された東京オリンピックは、様々な意見のある中での開催となりました。無観客での開催が決定し、従来のオリンピックとは全く違った形での開催となりました。デジタル化によるリアルタイム配信の恩恵を受けて、スマホなどのデバイスの前で声援を送った方も多いのではないでしょうか?
すべての競技について臨場感あふれるアングルでの配信を目にすることが出来たため、今回の大会を機に新たなスポーツのファンになった方も多いようです。
17日間にわたって開催された東京オリンピックでは、いくつかのAI・ロボットが活躍する姿を目にしました。本来なら華やかに来場者をおもてなしする役割であった彼らは、少し控えめではありましたが、コロナ禍のソーシャルディスタンスが必須であるいま、より必要な存在となっていると感じました。
実際にどんなAI・ロボットがいたのでしょうか?
いくつのAI・ロボットに気づかれましたか?
1. 東京オリンピックで活躍したAIロボットたち
《開会式のドローン飛行》
1824機のドローンがオリンピックスタジアムの上空を彩り、立体的な美しいフォーメーションを見せてくれました。非常に印象に残るシーンだったのでご記憶の方も多いことでしょう。
朝日デジタルの配信画像*1では、夜空を見上げる人の中から「虫の大群みたい!」といった声が聞かれる様に、音だけが響く真っ暗な上空に突然現れたドローン集団が、楕円から最終的には地球をイメージした球体へと変化し、夜空を飾りました。
朝日新聞Digital動画配信から引用
《自動車型ロボット》
陸上競技のハンマー投げやラグビーでは、重さ7キロの鉄球玉を運んだり、ラグビーボールを運ぶロボットが活躍しました。*2
NHK動画配信から引用
《マスコットロボットによる応援》
大会関連施設等にて選手や観客を歓迎したり、子どもとの触れ合いを想定して作られた、愛らしい大きな目でさまざまな表情を見せる「ミライトワ」。無観客のため、過去の大会のように競技の合間に観客を盛り上げる機会もなく、海外メディアからは控えめな存在として報道されていました。
そんな「ミライトワ」が、バレーボール女子予選リーグの無観客席の一画にぽつんと座り、まるで「今できる形で選手を応援しているよう」としてITmedia*3に紹介されていました。周りに誰もいないので、なんか可哀想…。
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NHK動画配信から引用
《ロボットによる競技の実況中継》
「ロボット実況・字幕は、競技データを元に自動で行っているため、データの誤りや遅れなどにより、実際の状況と異なる実況が行われる場合があります」の注意書きとともに、NHK動画配信*4画面の右下には実況と字幕のアイコンがあり、クリックするとほぼリアルタイムに双方のサービスが提供されました。
若干タイム・ラグがありましたが、合成音声といっても違和感ない音声で実況していて、選手たちの声を聞きながらより臨場感を味わうことができるというもの。視覚・聴覚が不自由な方でも、参加していただけるという新しい取り組みとなりました。
《人間ロボット》
トヨタ自動車のAIバスケットボールロボット「CUE5」がバスケットボールのアメリカ対フランスのハーフタイムに登場、スリーポイントどころか、ハーフコート・レンジからもシュートを決めるパフォーマンスを見せてくれました。*2
NHK動画配信から引用
2. 小売業界で活躍するAI
このようにオリンピックのそこかしこで活躍してくれたAIやロボットですが、小売の世界でもその活用が進んでいます。
《セルフレジ》
昨今、労働力不足の問題を抱える小売業としては、デジタル技術の活用による業務効率化が課題となっています。またソーシャル・ディスタンスの観点や顧客の利便性向上の意図もあり、キャッシュレス決済やセルフレジの導入が進んでいます。
《画像解析ソフトウェア》
店内カメラなどのIoT端末から画像データを収集し、人数カウントや属性情報などに変換して、店舗状況の可視化に活用されています。
《店内分析プラットフォーム》
収集された顧客データ、POSなどによる販売データ、過去の天気データなどを統合し、AIを使った分析アルゴリズムも含んだ分析結果を可視化します。需要予測から在庫管理を効率化したり、属性分析やリピート率分析からマーケティング施策へとつなげることができます。
《受付・案内ロボット》
代表例としては、2017年に回転寿司店「はま寿司」で実証実験として「Pepper」の導入が開始。来店客受付や案内業務への活用が目的で、充分にその役割を果たしていました。

ロボスタから引用
以前はお寿司を食べに行くと出迎えてくれたPepperですが、今はタッチパネルのキオスク端末が導入されています…ありがとう、Pepperくん。
(現在でも携帯ショップなどの店頭で受付業務に勤しむ姿が見られますよね)
ちなみに今年6月に「Pepper」は生産停止となっています。その背景には、返却された「Pepper」の在庫数が上回ったためであり、現行のサービスについては継続されるだろう、との見解があります。*4
AIやロボットが私達の身近になってきたと感じる今日このごろですが、数年前には「AIが私達の仕事を奪ってしまうのでは?」とセンセーショナルな話題が世間を賑わしました。
きっかけは、2013年に英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らが「10~20年以内に労働人口の47%が機械に代替されるリスクがある」と論文に記したことで、皆がAIやロボットに恐怖を感じたのでした。しかしその後、オズボーン准教授らと野村総合研究所が共同研究した資料の中では「AIが効率を支え、ヒトは創造性を担い、生産性と創造性は両立できる」*5と述べているように、主に生産面(作業面)でのAIやロボットの活躍が今後期待されるところです。
今回の東京オリンピックで垣間見ることが出来たように、また小売業界や医療、教育でも活躍しているAIやロボットの活躍は、いまのこのコロナ禍の状況に則した「感染リスクを減らす取り組み」「人をサポートするための業務代行」「生産性をあげるための効率化」など、私達の生活を守る・豊かにする役割を担っていると感じます。
弊社Flow Solutionsも引き続き、人々の生活をよりスマートにするために、特に小売業の販売・業務の効率化のお役に立てるよう、リテール・データ分析AIプラットフォーム「Flow」の進化・拡充に努めていきます!
〈注釈〉
*2:NHK「ロボットも活躍する東京五輪」
*3:ITmedia「誰もいない観客席から五輪選手を応援する“人影”がポツリ その正体は……」
*4:ロボスタ「ペッパー生産停止 報道から生まれた多くの誤解 会話ロボット「Pepper」日本の販売・開発事情の現状とまとめ」
*5:ITmedia「AIが仕事を奪う への疑問 いま、“本当に怖がるべきこと”は」