来店客数が足りない。
そんなとき、
「もっと広告を出そう」
「キャンペーンを増やそう」
「集客を強化しよう」
と考えるのは自然です。
しかし、店舗の前には十分な人がいるのに、来店客数が少ないとしたらどうでしょうか。
その場合、先に確認したいのは広告ではありません。
店前を歩いている人のうち、何人が実際に店舗へ入っているか。
つまり、入店率です。
例えば、店前を10,000人が通る2つの店舗があったとします。
- 店舗A:100人が入店 → 入店率1%
- 店舗B:200人が入店 → 入店率2%
店前を歩く人数は同じでも、来店客数には2倍の差があります。
つまり、来店客数を増やす方法は、店前を歩く人を増やすことだけではありません。
すでに店前にいる人が、どれだけ店舗へ入っているかを見ることも重要です。
来店客数が少ないからといって、集客不足とは限らない
店舗の来店客数は、次のように考えられます。
来店客数 = 店前通行量 × 入店率
入店率は、
入店率 = 来店客数 ÷ 店前通行量
で計算します。
例えば、
- 店前通行量:10,000人
- 来店客数:200人
なら、入店率は2%です。
来店客数が減っているときに重要なのは、
店前を歩く人そのものが減ったのか。
それとも、
店前には人がいるのに、店舗へ入る人が減ったのか。
を分けて見ることです。
店舗売上全体の原因を来店客数・購買率・客単価に分けて見る方法は、店舗の売上が下がった原因を3つのKPIに分けて見る方法で詳しく解説しています。
同じ「来店客数20%減」でも、原因はまったく違う
例えば、来店客数が500人から400人に減った2店舗を考えてみます。
| 店舗A | 店舗B | |
|---|---|---|
| 店前通行量 | 25,000人 → 20,000人 | 25,000人 → 25,000人 |
| 入店率 | 2.0% → 2.0% | 2.0% → 1.6% |
| 来店客数 | 500人 → 400人 | 500人 → 400人 |
どちらも来店客数は20%減っています。
しかし、起きていることは違います。
店舗A:店前を歩く人そのものが減っている
店舗Aでは、入店率2.0%は変わっていません。
減っているのは店前通行量です。
この場合は、
- 商業施設全体の人出
- エリアの人流
- 曜日や季節性
- 天候
- 周辺イベント
- 営業時間
- 広告や販促
などを確認する必要があります。
店舗だけではコントロールしにくい外部要因が影響している可能性もあります。
店舗B:店前には人がいるのに、入店されなくなっている
店舗Bでは、店前通行量25,000人は変わっていません。
しかし入店率が2.0%から1.6%へ下がったため、来店客数が500人から400人へ減っています。
この場合、さらに広告費を使って店前の人を増やす前に、
なぜ同じだけ人が通っているのに、店舗へ入る人が減ったのか
を確認したほうがよいでしょう。
同じ「来店客数20%減」でも、必要な施策は違います。
入店率が下がったら、店頭で何が変わったかを見る
入店率が下がっているからといって、原因が一つに決まるわけではありません。
例えば、次のような点を確認します。
- 店頭VMDやディスプレイを変更したか
- ショーウィンドウの商品が変わったか
- 入口周辺が見えにくくなっていないか
- 季節や客層に対して店頭の商品が合っているか
- キャンペーンやPOPの内容が変わったか
- 店内が外からどう見えているか
- 時間帯によって入店率に差がないか
重要なのは、
「入店率が低い=VMDが悪い」とすぐに決めつけないこと
です。
入店率から分かるのは、
店前から入店までの間で、何かが変わっている可能性がある
ということです。
そこから実際の店舗を見て、原因を確認します。
VMDを変えたなら、売上だけでなく入店率を見る
例えば、ショーウィンドウや店頭ディスプレイを変更したとします。
変更前と変更後で売上を比較することは重要です。
しかし、売上だけでは店頭変更がどこに効いたのか分かりません。
変更後に、
- 店前通行量:ほぼ変化なし
- 入店率:上昇
- 来店客数:増加
となっていれば、
店前を歩く人が増えたのではなく、その中から店舗へ入る人が増えた
ことが分かります。
反対に、
- 店前通行量:増加
- 入店率:ほぼ変化なし
- 来店客数:増加
なら、来店客数が増えた主な理由は店前を歩く人が増えたことかもしれません。
この違いを分けて見ることで、
「ディスプレイを変えたら売上が上がった」
だけではなく、
「ディスプレイ変更後、店前通行量は変わらなかったが入店率が上がった」
まで確認できます。
VMDや売場変更の効果をデータで確認する方法は、FlowのVMD効果測定でも紹介しています。
キャンペーンも「売上が上がった」で終わらせない
入店率はVMDだけに使う数字ではありません。
マーケティングや販促の効果を見るときにも役立ちます。
例えば、キャンペーン期間中に売上が増えたとします。
売上だけを見れば、
「キャンペーンは成功した」
と判断したくなります。
しかし、店前通行量と入店率を見ると、もう一段詳しく確認できます。
店前通行量が増えた場合
キャンペーンや広告によって、店舗周辺まで来る人が増えた可能性があります。
店前通行量は同じで、入店率が上がった場合
店頭訴求やキャンペーン内容が、店前を歩く人の入店につながった可能性があります。
店前通行量は増えたが、入店率が下がった場合
多くの人に接触できた一方で、その人たちを店舗への入店につなげられていない可能性があります。
このように、
店前通行量 → 入店率 → 来店客数
を分けて見ることで、キャンペーンがどこに影響したのかを確認しやすくなります。
販促を来店や購買率まで含めて確認する考え方は、店舗マーケティングの効果を来店率・購買率で測る方法でも紹介しています。
入店率に「正しい数字」はない
「入店率は何%なら良いのか」
という質問に、一つの答えはありません。
入店率は、
- 業態
- 商品
- 価格帯
- 立地
- 商業施設
- 店舗面積
- 入口の形状
- 店前を歩く人の目的
などによって変わります。
そのため、入店率は絶対値だけで判断するより、自店舗の過去推移や条件の近い店舗との比較で見ることが重要です。
「この数字だから低い」「この数字だから良い」と、絶対値だけで判断するのは適切ではありません。
と判断するのは適切ではありません。
見るべきなのは、
自店舗の過去と比べてどう変わったか。
そして多店舗なら、
条件の近い店舗と比べて、継続的な差があるか。
です。
例えば同じブランドで似た立地の店舗なのに、
- 店舗A:入店率 2.4%
- 店舗B:入店率 1.6%
という差が続いているなら、店舗Aと店舗Bで何が違うのかを確認する価値があります。
多店舗では「入店率が低い店舗」を先に見つける
1店舗なら、入口に立って店前の様子を見ることもできます。
しかし100店舗、300店舗、500店舗になると、本部やエリアマネージャーがすべての店舗を同じ頻度で確認することはできません。
そこで必要になるのが、
店前通行量はあるのに、入店率が低い店舗を先に見つけること
です。
例えば100店舗を、
- 店前通行量も来店客数も減っている店舗
- 店前通行量は維持しているが入店率が低下している店舗
- 入店率は高いが購買率が低い店舗
に分けます。
すると、
「来店客数が少ない100店舗」
ではなく、
「店前には人がいるのに、入店につながっていない店舗」
を優先して確認できます。
多店舗運営では、この違いが重要です。
すべての店舗に同じ集客施策を出すのではなく、
店舗ごとに、まず確認すべき問題を分けられる
からです。
入店率を共通の数字にすると、VMD・マーケティング・店舗の会話が変わる
多店舗で入店率を計測する価値は、
「入店率が低い店舗を見つけること」だけではありません。
もう一つ大きな価値があります。
それは、
複数のチームが同じ数字を見ながら、店舗改善について話せること
です。
例えば、店前通行量と入店率を継続して確認できれば、それぞれのチームが次のように使えます。
| チーム | 確認できること |
|---|---|
| マーケティング | キャンペーン前後で店前通行量や入店率がどう変わったか |
| VMD | ウィンドウや店頭ディスプレイ変更後に入店率がどう変わったか |
| 本部・店舗運営 | どの店舗で入店率が低下しているか |
| エリアマネージャー | 優先して確認・訪問すべき店舗はどこか |
| 店舗 | 実施した変更のあと、入店率がどう変わったか |
これまで、
「もう少し入口を目立たせよう」
「今月はキャンペーンを強化しよう」
「この店舗はもっと集客したほうがいい」
という話をしていたところに、
同じ数字を使った会話
ができるようになります。
例えば、
「この店舗は店前通行量は十分あるが、入店率がほかの類似店舗より低い」
と分かれば、単純に広告を増やすのではなく、VMDや店舗運営の担当者と店舗が一緒に入口を確認できます。
そこで店頭ディスプレイを変更したなら、
変更後に入店率がどう動いたか
まで同じ数字で確認できます。
重要なのは、
重要なのは、施策の良し悪しを感覚だけで判断しないことです。
「何を変えるのか」
そして、
「何を見て、その変更がうまくいったか判断するのか」
を、本部と店舗でそろえることです。
多店舗への展開では、数字を「見られる人」を増やすことも重要
店舗データは、計測しているだけでは店舗改善につながりません。
実際に改善を行う人が、その数字を確認できることが重要です。
Flowの124店舗での導入事例では、導入初期はデータ活用が本部中心で、すべての店長が日々の店舗運営に十分活用できる状態ではありませんでした。
その後、店長へのアクセス付与と活用研修を進め、店長とエリアマネージャーが同じデータを見ながら、施策前後の変化を確認し、PDCAを回す運用へ移行しています。
この事例では、124店舗・1年間の検証で、
- 来店客数:前年比 -5.61%
- 購買率:前年比 +8.93%
- 売上:前年比 +8.25%
- 売上増加額:18億円
という結果が確認されています。
その後、導入は220店舗以上へ拡大しました。
※上記は当該企業における結果です。成果は店舗環境、運用方法、市場条件、データ活用の定着度などによって異なります。
この事例から重要なのは、
「データを導入すれば、この結果になる」ということではありません。
注目したいのは、
本部だけが数字を見るのではなく、実際に店舗を運営する店長やエリアマネージャーも同じデータを使う運用へ変わったこと
です。
多店舗でFlowを使う価値は、全店舗に同じ数字を表示することではありません。
共通のKPIを使いながら、それぞれの店舗で何を改善するかを話し、変更後の結果を確認できること
にあります。
入店率は、店舗別だけでなく時間帯別にも見る
1日の平均入店率だけでは、問題が見えないことがあります。
例えば、ある店舗の入店率を時間帯別に見ると、
- 10時〜12時:2.2%
- 12時〜15時:2.1%
- 15時〜18時:1.2%
- 18時〜20時:1.9%
という店舗があったとします。
この場合、15時〜18時だけ入店率が大きく下がっています。
その時間帯に、
- 店頭の商品やディスプレイがどう見えているか
- 西日や照明で店内が見えにくくなっていないか
- 店前の混雑状況が違わないか
- 店前を歩く客層が変わっていないか
- 店頭スタッフの配置が変わっていないか
などを確認できます。
「この店舗は入店率が低い」
だけで終わらず、
「この店舗は15時〜18時だけ入店率が低い」
まで分かれば、現場で確認すべきことはかなり具体的になります。
Flowなら、入店率を店舗改善の共通指標として使える
この問題に必要なのは、単にカメラを設置することではありません。
店前通行量と来店客数を測り、入店率を継続して確認し、その数字を店舗改善に使える状態にすること
です。
1. Flow AIカメラで店前通行量を測る
Flow AIカメラで、店舗の前を通る人数を継続して計測します。
2. 店舗入口で来店客数を測る
実際に店内へ入ったお客様の人数を計測します。
そこから、
入店率 = 来店客数 ÷ 店前通行量
を確認できます。
3. Flow Platformで店舗・時間帯別に比較する
Flow Platformでは、来店客数、店前通行量、入店率、売上などを店舗ごとに確認し、店舗・エリアで比較できます。
例えば、
「店前通行量は十分あるが、入店率が低い店舗」
を先に見つけることができます。
4. VMD・マーケティング・エリア・店舗で同じ数字を見る
Flow Platformでは、店長・エリアマネージャー・本部が同じ店舗データをもとに状況を確認できます。
そのため、
どの店舗を見るべきか
を本部やエリアマネージャーが確認し、
店舗で何を変更するか
を現場と話し、
その後、
入店率がどう変わったか
を確認できます。
入店率をレポートの数字で終わらせず、
VMD、マーケティング、店舗運営の改善サイクルに組み込むこと
が重要です。
実際に、店前通行量を見ることで店頭の見方が変わる
Flowの導入事例で紹介しているCole Haan Japanでは、店前通行量のデータを入店率の把握やディスプレイ改善に活用しています。また、全社でダッシュボードを共有することで、店舗状況について共通の数字をもとに話せる環境づくりにもつながっています。
店前通行量を見る意味は、単に「何人歩いていたか」を知ることではありません。
店前を歩いた人数と実際に入店した人数を比べることで、
「人通りが少ないのか」
それとも、
「人通りはあるのに入店につながっていないのか」
を分けて考えられるようになります。
さらにその数字をVMDや店舗運営のチームと共有することで、
どの店舗で何を確認し、変更後にどの数字を見るか
まで会話をつなげることができます。
まとめ:店前に人がいるなら、集客を増やす前に入店率を見る
来店客数が少ないからといって、すぐに広告や販促を増やす必要があるとは限りません。
まず、
来店客数 = 店前通行量 × 入店率
に分けて見ます。
店前を歩く人そのものが減っているのか。
人はいるのに、店舗へ入ってもらえていないのか。
この違いが分かれば、次に確認すべきことも変わります。
特に多店舗では、
「来店客数が少ない店舗」を探すだけではなく、「店前に人はいるのに入店率が低い店舗」を見つけること
が重要です。
そして、見つけたあとがさらに重要です。
マーケティング、VMD、本部、エリアマネージャー、店舗が同じ数字を見ながら、
何を変えるか。
どの数字を見て成功を判断するか。
をそろえる。
そうすることで、入店率は単なるレポートのKPIではなく、店舗改善のための共通指標になります。
集客費を追加する前に、すでに店舗の前を歩いている人をどれだけ来店につなげられているかを確認する。
そこから、入口、VMD、店頭訴求、キャンペーンなど、まず確認すべき場所を絞ることができます。
店前通行量・来店客数・入店率を計測する
FAQ:店前通行量と入店率について
入店率とは何ですか?
入店率は、店舗の前を歩いた人のうち、実際に店舗へ入った人の割合です。
入店率 = 来店客数 ÷ 店前通行量
で計算します。
入店率は何%なら良いのでしょうか?
一つの基準値だけでは判断できません。
業態、立地、商品、価格帯、商業施設、店舗タイプなどによって入店率は異なります。
自店舗の過去実績や、条件の近い店舗との比較を見ることが重要です。
入店率が低ければ、VMDを変えればよいのでしょうか?
必ずしもそうではありません。
店頭VMD、ショーウィンドウ、入口の見え方、商品、キャンペーン、時間帯など複数の要因が考えられます。
まず、どの店舗・どの時間帯で入店率が低くなっているかを確認してから原因を調べます。
マーケティング施策の効果を見るのにも入店率は使えますか?
はい。
例えばキャンペーン前後で店前通行量と入店率を比較すると、
店前を歩く人が増えたのか
それとも、
店前を歩く人の中から店舗へ入る割合が上がったのか
を分けて見ることができます。
売上だけでは分からない、施策がどの段階に影響したかを確認しやすくなります。
来店客数だけではだめですか?
来店客数だけでは、その人数になった理由を判断できません。
店前通行量も合わせて見ることで、
「そもそも店前に人が少なかった」のか、
「店前には人がいたが入店されなかった」のか
を分けて考えることができます。
多店舗で入店率を計測するメリットは何ですか?
店舗間の比較だけではありません。
マーケティング、VMD、本部、エリアマネージャー、店舗が同じ数字を見ながら、
どの店舗に課題があるか、何を変更するか、変更後にどう評価するか
を共通の基準で話しやすくなります。
店前通行量を測れば、売上が上がりますか?
店前通行量の計測だけで売上改善が保証されるものではありません。
価値は、来店客数が少ない理由を店前通行量と入店率に分け、どの店舗のどこを確認すべきか判断しやすくすることにあります。
さらに、改善施策の前後で同じKPIを確認することで、VMDやマーケティング、店舗運営の施策を検証しやすくなります。

